第八話 淡麗作戦決行準備
1月21日(金)
今日は一旦完成したシステムを再度チェックする。
これで大丈夫だとは思うんだけど、なんか心配なんだよな~
酒寝以外の人と入れ替わっても困るし。
よし、こうなったら機械に詳しい、割箸さんに追加で機械の作成をお願いしてみようかな。
「割箸さん、忙しいときにすみません。急ぎではないんだけど機械作ってくれん?
えあちから聞いてるかもしれないけど、淡麗のシステムで心配なところがあって、それを補完してくれるような機械作ってほしいんだよね。酒寝以外の人と入れ替わっても大変だし」
「おお、全然いいよー、いつまで?あと仕様とかいろいろ聞かせて」
「おーありがとう、割箸さん。今日中に送るわ。」
「はいよー」
これで機械が完成すればきちんとしたシステムが完成するはず。
どうにかうまくできるといいんだけど。はやくマオさんに酒をやめてもらって少しでも肝臓の負担を減らせればいいんだけど、、。
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2月1日(火)
「ヤン、お待たせして悪いね。頼まれてた機械できたよ。これできっとうまくいくと思うんだけど、もし仕様の変更あれば言って、調整するから」
「おおお!割箸さんありがとうございますー!これめっちゃ小さくね?こんな感じになるんだ。僕の部屋ゴミ屋敷だからな~、なくさないように気を付けないと。」
「おう。多分こいつとヤンの作ったシステムをくっつければちゃんと正常に動くと思うんだけど」
「ありがとう!これでひとまずやってみるか~」
「俺も結構マオの体調は心配してたから、こういう形で無理やりにでも酒飲まないようにするってのはいいかもしれんな」
「これ、なかむらとえあちの思い付きで作ったんすよ。」
「wwwwあの双子の思い付きなのか。まあ変なシステムだけど酒寝っぽくていいんじゃない?みんな心配していることが分かれば、マオも少しは健康に気を遣うようになるでしょ」
「そうだといいんだけどなー」
「まあ、もしやってみてうまくいかなかったら連絡ちょうだい。また力になれることがあれば手伝うよ」
割箸さんはそう言って帰っていった。
やっぱり大人ってすごいんだな、と感じながら彼の背中と手の中の機械を交互に見た。
機械にシステムをインストールして正常に動けばこの作戦は決行できる。
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翌日、僕はさっそく機械にシステムをインストールした。
お、デバックもうまくいってるしここまではいい感じ。
そういえば誰か動作テストのために生贄が必要よな。
メロンあたりに頼んでみるか?仕事忙しいかな~。
と思ったら間宮さんから連絡がきた。
「よ。急にすまんな。オジから連絡もらったんだけど、ヤンいまなんか作ってるんしょ?もしなんかできることあれば手伝おうかと思って」
「マジ!それはありがたい。今日間宮さんが帰ったらさそっそくお願いがあるんやけど」
「ほお、んでなに?」
「割箸さんに機械作ってもらって、システムインストール完了したから動作の確認頼もうと思って」
「あーね。全然いいで。なんか準備するものある?」
「話早くて助かる~。淡麗の白2本用意しておいて!じゃあ家着いたら教えてください」
「うい。一応明日休みだから失敗しても大丈夫だけど、失敗せんでな」
「善処します。多分うまくいくと思うけど」
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22時。
「じゃあやりますね。携帯もっといた方がいいっすよ」
「おけ。じゃあいくで~」
プシュッ――—
目をあけると僕の部屋じゃない。靴とフィギュアがたくさん並んだ部屋にいた。大成功だね。しばらく整然と並べられたフィギュアを見ていると間宮さんから電話がきた。
「ちょ、お前の部屋汚すぎん?片付けろよ」
あ、そういえば片付けないで来ちゃった。
部屋を見る限り間宮さんキレイ好きな感じするしね。まあしょうがないか。
「部屋はすみません~。まあ許してちょんまげ。一応入れ替わりは成功したっぽいな。これってやっぱり同時に開けないとうまくいかないっぽいから結構タイミングむずいけど、何とかいけそうじゃね。」
「そうなん?それならよかったけど、お前の部屋汚いから早く戻らせて?」
「ひどいこというなあ。でもこれ一つ欠点があって、あくまで同時に開けた人と入れ替わるシステムだから、全然意図しない酒寝メンバーとも入れ替わる可能性があるんだよな~。まあいいか。そこはスリルってことで」
「適当すぎん?まあ間宮さんは参加しないからいいけど」
間宮さんが参加しない?そんなことあるわけないでしょ。
「いや、間宮さんマオさんと仲いいんで、最初に仕掛けてもらいますよ」
「は?どうやって?マオが缶開けるタイミングわかんないし」
「それが、この前レンカさんがマオさんの家に行ったときに、隠しカメラを仕掛けてくれたんよね」
「マジ?犯罪やん、なにやってん」
「いや、、ちょっと迷ったけど健康のためにしょうがないってことでこっそり仕掛けてもらいました。マオさんち結構ごちゃっとしているみたいだし、そう簡単に見つからないですよきっと。それに入れ替わるときにしか電源ONにならないから、基本はマオさんの生活を覗かない仕組みになってます」
「ほーん、まあなんでもいいけど。3月14日だっけ?間宮さんそこ休みになるように調整しておくわ」
「ありがとうございます!じゃあ僕たちも戻りましょうか」
「うい」
「帰り分の淡麗も買っとかないと片道切符だから気を付けないと」
こうして何とかテストは無事終了。
確かに監視カメラ仕掛けたのはよくないかもしれんけどね。
マオさんの健康を守る、って大義名分があるしきっと神様も許してくれるはず。
あとはもう少し確認して、3月14日を待つだけかな。
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