第五話 プログラム
3月19日(土)
「よお、まいどお」
今日は兄貴の枠に来てみた。
「よお兄貴。昨日ぶりだな」
「そうやな。でもあれから酒飲んでないやろ」
「まじで背中痛すぎ。きもい」
「それは知らんて。飲みすぎてるのが悪いんやろ」
きた。兄貴にしては珍しい発言。
今聞くしかねえな。
「なあ。最近ずっと思っとったんやけど、兄貴最近おかしいぞ?」
「は?何がやねん。俺はお前と違っていたって正常や」
「いや、3か月前のあの時から、兄貴絶対おかしいって。急に休止したり、俺に酒飲むなって言ったり、
病院に急に連れて行ったりして」
「おかしくないゆーてるやろ。ええ加減にせえよ」
「いや、絶対おかしいって。俺に何か隠してることあるだろ」
「隠してること?」
「ああ、淡麗飲んで入れ替わるとかワープ?するとか、絶対おかしいだろ。酒寝のだれかが考えたとしか考えられないし」
「ああ~ヒントやろうか?あのシステムを作ったのはやんちゃんやで」
「は?」
予想外の人物過ぎてマヌケな声が出た。
やんは確かにIT系の会社勤めてるけど、なんでそんなシステムを作る必要があったんだ?
「ちょ、どういうことなんだよ、きーもいって。なんでやんがそんなもん作ってんの?」
「ちゃんと考えろや。いままでお前が何してきたか。ちょっと考えればわかるだろ」
「は?俺なんもしてねえって、教えろよ」
「お前、酒飲みすぎやねん」
「そんなんいつもやろ。好きなの飲んで何があかんねん」
「お前ほんまそういうとこやぞ。周りの気持ちに気づけって」
「は?俺なんかしてるか?」
「酒のみすぎて心配してんの。伝わってないんか」
「なるほどなぁ。でも俺が何飲むかに干渉していいわけじゃねえだろ。俺が上なのに」
「それ何回いうねん。そらそうやけど。お前言うこときかんもん」
「だからってなんでやんが出てくるんだよ。てか誰がかかわってんの?」
「やんちゃんはそらプログラム書けるからな。めっちゃ優秀やったわ。結構苦戦したけどな」
「兄貴が直接頼んだのか?」
「まあそこらへんはまだ秘密ってことで」
俺が酒の飲みすぎで周りに心配されてるのなんていつもじゃねえか?
なんで今更。
俺が酒の量を話すとみんな面白そうに聞いてたじゃねえか。
みんな心配してたってのか?
だったらLoveとか地獄だろ。入院してんだから。
まあ酒寝はあったけえやつしかいないってことか?さすが俺の集めたグループ。
兄貴は言わなかったけど、兄貴が黒幕だろ。
中心にいるのは琴とやんってとこか?
こうなったらさっさと酒が飲めるようにやんにプログラム消させるのが手っ取り早いだろ。
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「おお、やん?うぃっす~。なんか兄貴から聞いたけど、やん酒飲むと入れ替わるシステム作ったのお前か?」
「あ、マオさん!そうっすよ、にーやんにいわれて」
「そうなん?てかお前、俺に逆らえると思ってんのか?プログラム消せや」
「そうくると思ったんすけど、ちょっと僕は消せないんですよね~。別の人が書いてる部分もあるし、下手に消すとバグっちゃうというか」
「は?んなもんどうでもええわ。今からお前んち行くから待ってろ」
俺はさっそくやんの家を目指して出発した。
背中が痛いが気にしない。
なんせこの後酒が飲めるようになるんだから。
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「やん!きたで。家あげろや」
「は?!本当に来たんかよww」
そういって驚くやんを尻目に俺はPCを立ち上げてプログラムを見つけ、削除ボタンを押した。
その瞬間真っ白な世界に急に飛ばされた。
さっきまでやんの家にいたはずなのに、家具も見当たらないしやんもいない。
何もない、何も聞こえない空間。
しばらくすると一面真っ白だったのがだんだんと晴れてきた。
よく見る俺の部屋。
だけど完全に衣替え前の完全冬服。暖房もガンガンにかけてあるし。
日付を確認すると1月19日。3か月前じゃねえか。
ほんとにどうなってんだ。
俺が無理やりプログラムを消したからか?
しばらく悩んでいると、ラインの通知。
兄貴とやんからだ。明日はよろしくなってーーーそうだ。思い出した。
3か月前ちょうど3人でオフ会したんだった。
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